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「期限の利益」の喪失通知が届いたら?焦らずに落ち着いて対応するように!

期限の利益の喪失」という言葉を聴いたことはあるでしょうか。

そもそも「期限の利益」とはなんでしょう。それを失うとどうなるのでしょう。

「期限の利益」は純然たる法律用語ですので、知らなくても無理はありません。意味の把握が難しい言葉ですが、言い換えるのも困難なので法律用語のまま使われています。

通常の生活においてはあまり意識しませんが、ローンの支払ができなくなる状況においては、大変重要な概念です。特に、住宅ローンにおいて重要です。

期限の利益とは?

ローンを組むときは、貸主と借主の間で金銭消費貸借契約を締結します。契約書には、ローンの額、金利、返済日等と並び、期限の利益の喪失についても必ず明記されています

借主としては、必要があるから借りているわけです。約定の返済は守らなければいけませんが、返済日までは借りたままにしておけます。約定の返済日より前に、返済を迫られることはありません。

期限の利益とはこのように、返済日まで返済を迫られることのない、借主の自由を指します。

貸主には、利息を請求する権利があり、借主には期限の利益があるわけです。お互いにメリットがあるので金銭消費貸借契約が成立するのです。特に貸主にとっては、ビジネスとして成り立つものになります。

期限の利益」は「借りた人の権利」だよ。まずはここから押さえよう

それを失ったらどうなっちゃうのか、見ていこう!

期限の利益があると分割払いができる

ローンに限らず、掛売りとなるショッピングについても、利用者には期限の利益があります。

クレジットカードの一回払いについても、締め日に基づいて決まる支払日があります。カード利用者は、支払日までは期限の利益を有しています。支払日より前に利用代金を支払う必要はありません。

一回払い以外の支払方法でも、またクレジットカード以外の支払についても同様に、期限の利益が働きます。TVショッピングや家電量販店などでは、「月々○万円の×回払い」を大々的に宣伝しています。これは割賦販売という分割払いです。

多くのクレジットカードで利用できる分割払いも同様で、期限の利益があるからこそ、約定の支払日に定められた分割代金だけ支払えばいいのです。金融に関連する数多くのシーンにおいて、期限の利益が働いているのです。

期限の利益があるとローンが組める

ローン、つまり金銭消費貸借契約においても、期限の利益があることで、月々約定の金額のみ支払えばいいわけです。

ただしローンの場合、貸主が約定の金額を超えて請求できないのに対し、借主は任意に約定の金額を支払うことができます(繰上げ返済)。約束より多く支払うことにより、借金の元本が減り、利息を少なくできます。

繰上げ返済はローンにおける当然の権利と考えがちですが、実は貸主の利息を減少させています。つまり、借主に有利なオプションになっているのです。

繰上げ返済は、そのようなことができる旨が契約書に定められているから可能なのであり、法律上当然に認められている権利ではありません。繰上げ返済は、期限の利益の一部を自ら放棄して、利息という損失を低減させる方法といえます。

期限の利益の喪失とは?

あまり意識しませんが、繰上げ返済にみられるとおり、ローン契約は債務者(借主)にとって有利に修正されているわけです。いっぽう、「期限の利益の放棄」という概念は民法に定めのあるものです。

債務者の利益として機能する「期限の利益」を、場合によっては失ってしまうという内容です。債務者が期限の利益を失うと、債権者(貸主)はローン残高を一括請求してきます。ローンが終了してローンでなくなるわけです。

ただ、民法の規定だけでは若干債務者(借主)に有利だと考えられますので、契約書では若干債権者(貸主)に有利な内容に修正されるのが通常です。民法の規定だけだと、債務者が破産したときでなければ、債権者は期限の利益喪失を主張できません。それでは実務上具合が悪いので、次の場合においても期限の利益を失うとする内容の契約書になっているケースが多いのです。

・元金または利息を期限に支払わない場合
○他の債務について差押さえ等を受けたとき
○債務者が振出・裏書をし、もしくは保証した手形・小切手が不渡りとなったとき
○債務者が債権者に断りなく住所を移転したとき

実際には、上記の事実があって機械的に期限の利益が消滅するわけではありません。延滞以外の事項については、債権者である金融機関が、「差し押さえ」「不渡り」「住所移転」などの事実を把握したときということになります。

住宅ローンで購入したマンションを他人に賃貸し、自らは引っ越したが金融機関に届出を失念したというような場合にまで、ただちに期限の利益が消滅するわけではありません。

「期限の利益」があるから、借りた人は「分割払い」できるんだ。言い換えれば「分割払いの権利=期限の利益」ってことだね。

貸した人にとっても、「期限の利益」を使ってくれるから利息になる、という側面があるんだね。

期限の利益を喪失すると一括請求される可能性がある

債務者のために働く「期限の利益」ですが、「返済を滞らせる」「返済する資力が脅かされる」などの理由で喪失してしまいますと、債権者から全額の返済を求められることとなります。

特にローンの額が大きい、住宅ローンにおいて顕著です。契約に違反したのですから仕方ありません。

もちろん、ローンが継続できなくなる状況が生じたわけですから、請求されても支払えない可能性が高いでしょう。債権者としては、さまざまな方法によりローン債権を保全しようとします。

通知書が届いてもすぐに期限の利益の喪失するわけではない

債務者において、契約書の違反事項があったとして、その多くの原因はローン返済金の延滞です。

延滞があると、督促状や催告書が届きます。それでもなお滞納を続けていると、「期限の利益喪失予告書」という書式が金融機関から届きます。

文字通り、「期限の利益の喪失」の予告です。予告ですので、予告書に定められた期日までに延滞分を支払えば、かろうじて元の状態に戻すことができます。

ですが、滞納してしまったということは、支払が困難な状況ということでしょう。予告書が届いてから一括で支払をするのもなかなか困難です。

予告書の支払期限を過ぎてしまいますと、今度は違う書式が届きます。「期限の利益喪失通知書」です。こちらは、すでに債務者が期限の利益を失いましたという宣言ですので、この通知書が届いてしまうと、ローンを維持することはもうできません。

なおも放置しておくと、住宅ローンの場合であれば住宅が競売に掛けられます。法的に処理されるわけです。それよりは、住宅の任意売却を選ぶほうがまだましな選択です。

住宅ローンの場合は6回の滞納で期限の利益の喪失になることが多い

住宅ローンの場合、一般的に「6回」の返済の遅延があると、期限の利益の喪失となります。

契約書に、「6回延滞したら期限の利益を失う」と書かれているわけではありません。これは慣習的な運用です。

したがって、返済の猶予を申し込んで聞き入れてもらえる場合もあります。住宅ローンでなく一般のローンの場合、「3回」の返済遅延で期限の利益を喪失する場合が多いようです。

期限の利益の喪失するケースについて

先に述べました通り、民法の規定を修正して、多くの金銭消費貸借契約書に期限の利益の喪失事由が記載されています。
その共通点は、ローンの返済をしないとき、または返済ができなくなる状況になったときです。

期限までに返済しなかった

期限の利益とは、約定の支払日に、定められた額を支払えばいいという債権者の権利です。約定の支払日にきちんと支払うからこそ、権利が存在するわけです。その約束を裏切ったとなれば、権利を主張できなくなります。

もちろん延滞はよくないですし、個人信用情報機関に登録される事故情報ともなりますから債務者にとってマイナスとなります。とはいっても、ついうっかり銀行への入金を忘れたという場合もあるでしょう。

連絡したうえですぐ返済すれば、大ごとにはなりません。ですが、滞納を繰り返せば、いずれ「期限の利益喪失予告書」「期限の利益喪失通知書」が届くことになります。

カードローンの返済に遅れるどうなる?延滞が引き起こす様々なマイナス影響と対応方法

契約内容に違反

返済の滞納以外で起源の利益を失う顕著な事例が、無断で住所を移転することです。

債権者からの連絡が取れなくするという手段ですので、これも期限の利益喪失事由となります。実務上は、実際に連絡が取れなくなっていたときには、直ちに適用されるでしょう。

住所移転後も返済を普通に続けている場合もあるでしょうが、金融機関に先に住所移転の事実を把握されてしまうと、すぐ届出を出したとしても信用を損なうことになるかもしれません。

自己破産、民事再生手続きを開始した

債務者の自己破産等は、民法にも既定のある期限の利益喪失事由です。債務者の債務が免責されるわけですから、当然でしょう。

もっとも、破産されてしまうと財産の管理処分権は破産管財人に移りますので、債務者の財産を優先的に回収できるようになるわけではありません。

民事再生は通常は法人の手続ですが、個人にも個人再生という手段があります。完全免責はされませんが、借金が5分の1程度に減縮されます。この場合も、期限の利益を失わせた金融機関において、優先的に債権を回収できるわけではありません。

大切なのは、延滞しないことはもちろん、「しっかり連絡を取る」ことだよ。

「分割払い」できないという判断以上に、「する気がない」って判断されたら、良くないんだね。

期限の利益の喪失通知が来た後、そのまま放っておくとどうなる?


債務者において期限の利益を喪失したということは、債権者がローン残高全額の回収をいつでも図れるようになったという意味です。

債務者の側からすれば、請求されても支払えないでしょうが、住宅ローンの場合は「住宅」そのものが財産としてまだ残っています。これを強制的に売却する手段が競売です。法律用語としては「けいばい」ですが、一般には「きょうばい」とも読みます。

住宅ローンを提供した金融機関自体は、この段階になるとすでに保証会社から代位弁済を得ていることが普通です。競売の申し立てをするのは、金融機関に代位弁済をした保証会社です。債権者が銀行から保証会社に替わったからといって、債務者の借金が消えるわけでないのは当然です。

競売の場合、入札で売却されますのでどうしても売却価格が低めになります。競売物件を狙って商売している人もいるくらいです。競売によって得られた売却金額は債務の弁済に回されます。これが滞納したローン残高に足りなければ、さらに債務者がその差額を支払わなければなりません

家もなくなり、借金も残るということがあり得ます。住み続けることができないことが明らかなのであれば、競売に掛けられる前に任意売却をしたほうが高く売れます。

期限の利益の喪失通知が来たらどう対応すればいい?

もっとも大事なことは、債務者である自分の置かれた状況を把握することです。なんとかなるかもしれないと思っているだけではどうにもなりません。

いくらまでなら支払える、支払えないとすればどうするという状況判断が大事です。

支払うことが無理ならば、それ以上住宅に固執していてはいけません。もっとも有利な形で売却する方法を選ぶべきです。それも、早く行動を起こすべきです。

ちょっと待ってもらえればなんとかなるという状況ならば、督促状や期限の利益の予告通知の段階で、債権者に相談しましょう。

素直に滞納分をすぐに支払う

生活の根幹をなす住宅ローンを、支払えるのに滞納しているのはよくありません。

そうはいっても、債務が増えてくるとなにを優先すればいいのかわからなくなる状況にも陥るかもしれません。だからこそ、現状の正しい把握が重要です。

支払えるならば、もちろん滞納分をすぐ支払いましょう。もちろん、住宅ローンだけでなく他の債務の状況を正確に把握していなければあまり意味がありません。

債務者へ相談する

住宅ローンの延滞を起こし、期限の利益を喪失しかかっている場合において、まだ住み続けるつもりがあるなら早めに債権者である金融機関に相談しましょう。

滞納が一時のことであり、その後支払える可能性が高いのであれば、多少は待ってもらえるかもしれません。

期限の利益の喪失になって滞納金を払えない場合に残された方法

住宅ローンの延滞を解消できない場合は、あまりその先の方法を選ぶ余地はありません。

少なくとも、その住宅に住み続けられることはありません。あとはその住宅を、主体性を持って売却するか、一方的に売却されてしまうかだけの差となります。

前者が任意売却であり、後者が競売です。

競売

滞納を放置し、さらに期限の利益の喪失通知を放置していれば、最終的には住宅が競売に掛けられてしまいます。自らの置かれた状況にきちんと向き合わず、放置してしまうとそうなります。

先に述べました通り、競売はどうしても安値での売却になりますので、避けるべきです。

競売というゴールまで手をこまねいているのではなく、積極的に任意売却するほうがずっとよい選択となります。

任意売却

住宅を手放さなければならない状況にあるならば、少しでも有利に手放さないといけません。

自分自身の財産として売却するチャンスがまだ残されているのに、手をこまねいて競売に掛けられてしまうのはあまりにも無策です。

任意売却は、債権者の同意を得て、一般的な不動産取引として売却する方法です。期限の利益を喪失したのちの手段です。

期限の利益を喪失する前に、第三者に住宅を売却してローンを全額返済する方法は、債権者とは関係ありません。

気づかない間に状況は切迫してしまうよ。自分の状況を確認して、ベターを採ろう!

明日より今日の方が、状況はいいんだよね。

まとめ

特に住宅ローンの延滞時に問題となる「期限の利益の喪失」についてご案内しました。

生活を取り巻く環境は日々変わっていきます。いざという時を迎える前に早めに行動を起こし、最悪の事態を避けるようにしたいものです。