インターネットでチェックしたり、お店に行ったりときにクレジットカードの入会キャンペーンを実施している光景を目にしたことのある人も多いでしょう。
しかもこのキャンペーンの内容が、年々どんどんすごいものになっています。
クレジットカードの新規会員キャンペーンが過熱気味
たとえば有名なのは楽天カードでしょう。楽天カードに入会すると、数千円分の楽天スーパーポイントが無条件で付与されます。
しかしほかのクレジットカードを見ても、ポイントの大盤振る舞いをしているところが結構見られます。
オリコカードを見てみると、最大18000円分のポイントをプレゼントというキャンペーンを実施していました。18000円分のポイントを獲得するためには一定の条件をクリアする必要があります。しかし条件をクリアできなくても、5000円分のポイントはプレゼントされます。
このように結構多くのクレジットカード会社が、入会キャンペーンを大々的に実施しています。しかも毎年実施しているのですが、なぜここまで躍起になって新規会員を獲得しているのかと疑問に感じるでしょう。
新規会員を毎年獲得する裏事情
なぜクレジットカード会社が毎年のように新規会員獲得キャンペーンを実施しているかですが、脱会者もいるからがまず挙げられます。
ある統計によると、クレジットカードの新規会員獲得率は20%程度だといいます。一方でクレジットカードの脱会率は15%程度平均するとあります。
獲得率よりも脱会率のほうが大きくなれば、おのずとクレジットカード会社の収益はダウンしてしまいます。
獲得率がやや脱会率を上回っている現状を見ると、大々的に入会キャンペーンを実施して、一定レベルの新規会員を獲得する必要があるのです。
クレジットカードユーザーですが、最近では結構シビアなところがあります。たとえば新規会員の特典として、年会費のかかるクレジットカードの場合、入会初年度は年会費無料としているところは多いです。
しかし2年目になって年会費がかかるようになったら、会員をやめてしまう人も少なくないです。
自分の使い方に合っていない、思っているよりもクレジットカードの利用頻度が少なかったなど様々な理由で脱会します。
またクレジットカードを取り巻く環境が変わったことも関係しています。クレジットカードにはショッピングのほかにも、キャッシングサービスが付帯されています。
キャッシングはカードローンのようなもので、一時的に現金を融資するサービスです。カードローン同様キャッシングを利用すれば、お金を返さないといけません。このとき元金返済のほかに、利息と支払わないといけません。
この利息ですが、いわゆるグレーゾーン金利と呼ばれる利率で徴収していました。しかし貸金業法が改正されて、グレーゾーン金利が撤廃されました。
それまで出資法の上限金利である29.2%近くに設定していたのが、利息制限法の上限である20%にまで引き下げられました。このため、キャッシングによる収益が大幅にダウンしました。
そこでクレジットカード会社は、ほかの収益源を探す必要が生じました。その中で年会費収入に注目が集まりました。新規会員を獲得すれば、その分年会費収入がアップします。
このような関係もあって、毎年多くのクレジットカード会社で新規会員の獲得に力を入れているのです。
大盤振る舞いをしても大丈夫?
新規入会しただけで、何千円とか何万円になるようなポイントをプレゼントします。
これだけの大盤振る舞いをしても経営は大丈夫なのか、と不安に感じる人もいるでしょう。しかしクレジットカード業界の現状を見ると、ポイントプレゼントに力を入れられる環境が整ってきています。
まず先ほど紹介したグレーゾーン金利が関係しています。
グレーゾーン金利が撤廃された時、利息制限法を超えて出資法未満という罰則規定がなかったためペナルティが課せられなかったが、実際は違法金利分の過払い金の返還請求が日本中で起こりました。消費者金融のほかにも、クレジットカードのキャッシングも対象になりました。
クレジットカード会社であれば、過払い金返還請求があった時のために資金をある程度プールする必要がありました。しかし過払い金返還には時効があり、2016年前後に時効の成立する案件が増えます。また過払い金返還請求もピークを過ぎました。
このような事情もあって、過払い金返還のための資金をある程度プールする必要がなくなりました。このため、この資金をキャンペーンに回せるようになりつつあります。
またクレジットカード会社のキャンペーンを見てみると、ネットを使ったものが主流になりつつあるのも大盤振る舞いできるようになった理由の一つです。従来のキャンペーンというと、店舗などに特別のブースを構えて行うものが多かったです。
しかしこの方式だと、ブースを設ける費用も掛かりますし、人件費もかかります。少し前のバイトの求人を見ると、キャンペーンスタッフの募集が大々的に行われていました。
しかしインターネットを使ったキャンペーンであれば、まず店舗などを構える必要がないです。またスタッフについても、対面式のキャンペーンと比較して圧倒的に少ない数で回していくことができます。
その関係もあって、キャンペーンにかかるコストを大幅にダウンすることができました。この浮いたコストもキャンペーン資金として回せるので、大々的な新規顧客獲得特典を設けることができたのです。