新しい家を購入するときには住宅ローンを組むのが一般的です。
自己資金をどれだけ用意できるだけでローンの金額も変わりますが、高額な融資となるため金融機関も慎重で厳しい審査になりますが、
審査基準は非公表のため、ローンを組めるか不安になりますよね。
ここでは、住宅ローンの審査に落ちる原因を徹底的に取り上げます。
住宅ローンの審査に不安な人も、落ちる原因が分かれば、審査の重要なポイントが見えてきます。興味ある人はぜひ参考にしてください。
目次
住宅ローンの事前審査で落ちる原因になるもの
他のローンよりも高額になるので、住宅ローンの審査は厳しくなります。しかし、厳しいといっても住宅ローンが組めないと家の購入を諦めることになりかねませんので、失敗せずに住宅ローンを組みたいもの。
ここでは、住宅ローンの審査に不安を抱える人に向けて、審査に落ちる原因をピックアップして解説をしていきます。
原因1:返済負担率が審査基準をオーバー
住宅ローンの審査項目の1つに「返済負担率」があります。この返済負担率が、銀行の基準以内に収まっていないと審査に落ちる可能性が非常に高くなります。
返済負担率が高ければ返済しにくくなり、返済負担率が低ければ返済しやすいという指標になる。言い換えれば、「いったいいくら借りられるのか?」の目安
例1. 年収400万円で、1年間のローンの返済額120万円(毎月10万円)の場合
120万円 ÷ 400万円 × 100 = 返済負担率30%
例2. 年収300万円で、1年間のローンの返済額84万円(毎月7万円)の場合
84万円 ÷ 300万円 × 100 = 返済負担率28%
一般的に返済負担率は35%以内が安全圏だといわれています。ほとんどの銀行は返済負担率など審査内容や基準を公開していませんが、公表している数少ない住宅ローンの1つに「フラット35」があります。
年収 | 返済負担率 |
---|---|
400万円未満 | 30% |
400万円以上 | 35% |
これから住宅ローンの審査を受けようと考えている人は、返済負担率が35%以内かどうかチェックをしておきましょう。
フラット35について気になった人は次の関連記事で詳しく解説しています。興味ある人はぜひチェックしてみてください。
原因2:他社の借入(カードローンなど)がある
住宅ローンの審査では、これまでのカード払いやローンの履歴が記録されている個人信用情報を必ずチェックします。当然、他社のローンの借入状況も詳細に分かります。
住宅ローン以外にカードローンや目的ローンといった他の借入が残っている場合は、それらを含めて返済負担率を計算します。
つまり、他社借入があると返済負担率が増加するので、審査にマイナスなのです。
例えば、自動車ローン年間50万円の支払いがある年収400万円の人が、住宅ローン年間120万円(毎月10万円)で返済負担率を計算すると42.5%になります。
(120万円 + 50万円) ÷ 400万円 × 100 = 42.5%(返済負担率)
自動車ローンがなければ返済負担率は30%なので、結構大きな影響を与えることが分かります。
他社借入の件数・金額は多ければ多いほどに、その分返済負担は大きくなるので、審査落ちの可能性を高めます。他社の借入が1件でもあれば審査上マイナスに評価されると思ってください。
他社借入がある人は、他のローンが完済してから住宅ローンに申し込むのが理想的です。
原因3:過去のクレジットカードやカードローンの延滞履歴
信用情報のマイナス評価は、他社借入の状況だけではありません。クレジットカードやローンの延滞や滞納も審査では低評価です。
特に、事故情報の記録があると、確実に住宅ローンの審査に通らないでしょう。ちなみに、事故情報があることを「ブラックリストに載る」といいます。
- 3ヶ月以上の長期延滞
- 債務整理(任意返済、個人再生、自己破産など)
- 代位弁済(保証履行)
- 強制解約
このような事故情報は永遠に記録が残り続けるわけではありません。信用情報にはデータの保存期間が定められていて、5年~10年で削除されます。もし、金融事故を起こしたことがある人は、事故形跡が信用情報から削除されてから住宅ローンを検討しましょう。
- ㈱シー・アイ・シー(CIC) ※ 主にクレジットカード
- ㈱日本信用情報機構(JICC)※ 主に消費者金融
- 全国銀行個人情報信用センター ※ 銀行
3社とも信用情報を共有しているので、どの金融機関でいつどんなローンを利用したかなど全て分かります。
この信用情報は開示請求をすれば中身を見ることができます。1,000円程度で請求できるので、心当たりがある人は住宅ローンに申し込む前に確認するといいでしょう。
事故情報ではない延滞でも、回数が多いと審査に落ちます。
「異動になっていなければ延滞していても問題はないのか?」というとそうではありません。
ローンは、相手を信用してお金を貸し出すサービスです。返済負担率が低く返済能力が十分であっても信用が得られないなら審査に落ちます。
延滞が1件で数日の間に支払われていればいいですが、そもそも頻繁に延滞を繰り返していれば警戒されます。住宅ローンは高額ですから、万が一返済されなくなると銀行側も大きな損を被ることになるからです。
延滞は一度もないことが理想的。事故情報がなくても、頻繁に支払い遅れをしていると審査落ちの原因になります。ですから、もし延滞した理由が明確にあるなら住宅ローン申込時に伝えておいたほうがいいですよ。
原因4:給与が安定していない
長い期間をかけて返済をしていくわけですから、収入の安定性はとても重要な審査基準です。年収の金額も重要ですが、何より定期的に安定した月給を得ているかどうかが大切です。
会社員で毎月ほぼ変わらない収入を得ている人は問題はないですが、固定給ではなく歩合給がある人は注意が必要です。
「歩合給=NG」というわけでは決してありません。歩合給は、売上や会社の貢献度に応じて支払われる報酬なので毎月同じというわけにはいかなくなるのが普通でしょう。歩合の度合いが大きい人より月給制の固定給の人の方が、収入は安定していると判断されるのです。
原因5:国民健康保険に加入している
自営業や個人事業主を除いて、勤めると会社の社会保険に加入する義務があります。会社で働いているにも関わらず、社会保険ではなく国民健康保険だと、社会上の信用は低くなるのです。
社会保険の加入日というのは、言い換えれば会社の入社日となります。社会保険なら勤務先・勤続年数のチェックにもなるのです。
原因6:完済時の年齢
ローンの審査では、信用もそうですが「返済能力」も重要です。住宅ローンは20年~35年といった長期的な返済期間で組むのが一般的。例えば、45才で35年ローンを組んだら80才になります。
高齢になると仕事を続けていけるかが不安な要素になります。仕事を辞めてしまえば収入は年金のみで低くなりますから、完済時の年齢が何歳になるのかというのは、返済能力に強く関わってくるのです。
完済時の年齢が高すぎると審査落ちの原因になります。従って、住宅ローンを組むとき、自分が何歳になるまで支払い続けるのかはシミュレーションしておきましょう。
毎月の支払いが安い方が返済負担が小さくなりますが、その分完済するまでの期間が延びることになります。自分が働き続けている期間内で住宅ローンを組むのが理想的といえます。
原因7:年収
年収は高いほど審査に有利に働きそうですよね?
確かに年収が高ければ返済がしやすくなりますが、年収の金額だけで判断するのは危険です。必ず返済負担率を計算しておきましょう。
返済負担率が35%以内が一般的な目安だと先ほど述べましたが、言い換えれば「年収〇〇円の人ならこれくらい貸してもいい」という数値を銀行側は決めているのです。
ですから、自分の年収に自信がない人も返済負担率を計算してから住宅ローンを選びましょう。
「高年収=審査で高評価」とはならない理由
年収600万円の人でも、1,000万円以上の貯金がある人もいれば、散財して貯金のない人もいます。
年収の金額だけでは決められない理由がここにあります。収入が少なくても毎月預貯金ができる計画性のある人の方が安心して貸せるのです。
返済負担率が目安ギリギリで審査に不安な人でも、預貯金をきちんと作っている人はアピール材料になるかもしれません。
原因8:職業
職業は収入の安定性に直結する情報といえます。雇用形態ならアルバイトやパートよりも正社員の方が評価が高くなります。
勤め先は、無名な企業よりは東証一部に上場しているような企業の方が審査は通りやすいでしょう。
そして、何より勤続年数が長ければ長いほど、収入が安定していると考えられます。会社を辞める可能性が低くなるからです。
一方、転職を繰り返してばかりだと正社員であっても審査に影響を与えるでしょう。転職は収入が上がる可能性もありますが、低くなる可能性もあるのです。
原因9:団体信用生命保険の加入審査に落ちる(健康上の問題がある)
ほとんどの住宅ローンの利用条件には「団体信用生命保険(団信)への加入」が求められます。団信に加入しなくても申込ができることで有名なフラット35も、2017年10月より団体信用生命保険付きの住宅ローンをリリースしました。
健康上の問題は、年をとればとるほど病気になる可能性や死亡のリスクが高まります。住宅ローンは20年以上の長期的な融資になるので、万が一にそなえて団体信用生命保険の加入を審査基準に含めているのです。
ですから、団体信用生命保険の審査で落ちてしまうと住宅ローンは組めません。
団信で落ちる理由は、間違いなく健康上の理由なはずです。
- 過去・現在の通院歴・病歴
- 機能障害の有無
原因10:購入予定の物件に問題がある
返済能力や信用などに問題がない人で落ちる原因として考えられるのが、購入住宅物件に問題があるパターンです。
考えられる審査落ちとなる物件の原因は大きく2つあります。
- 担保としての価値が低い物件
- 法律に違反した物件
①. 担保の価値が低い
住宅ローンは、数千万円といった高額な融資になるので、万が一返済をしてもらえないとなると損害が大きくなるのです。そのため、購入住宅を担保にして住宅ローンを貸し出すのが一般的。
担保の役割は、貸し手の損害リスクを軽減させること。ですから、万が一住宅ローンの返済ができなくなったときに、担保となっている住宅を売り、その売却益を残りの住宅ローンの返済にあてます。
別の見方をすれば、住宅ローンの審査では「この物件を売り払った場合の評価額はいったいいくらなのか?」といった目線でみてくるということです。
- 中古物件
- 新築物件
どちらの評価額が高いかというと一概に言えませんが、新築物件は一般的に購入金額で評価されるのに対し、中古物件は住宅によっては評価額が下がります。
お金を貸し出す側からすれば、損失リスクは小さければ小さいほどいいのです。
②. 権利や法的な規制にひっかかる
意外な理由かもしれませんが、法律に違反した物件は審査に落ちます。
中古物件に多いのが特徴です。
- 容積率・隠ぺい率がオーバーしている
- 斜線制限
- 接道義務違反
- 増築部分が未登記
住宅ローン審査落ちの意外な原因はこの2つ!
住宅ローンの審査に落ちる原因として有名なものに次の2つがあります。これは、意外に見落としがちな部分ですので、住宅ローンの審査を受けるまえに一度目を通してチェックすべき項目です。
ここでは、住宅ローンの審査に影響を与える意外な原因について紹介していきます。
クレジットのキャッシング枠・カードローンの利用可能枠がある
クレジットカードを持っている人は多いでしょう。実はカードには「ショッピング枠」と「キャッシング枠」という2つの利用限度額が設けられています。
カード払いで買い物するときにはショッピング枠を利用することになりますが、こちらは問題ありません。住宅ローンの審査に影響を与えるのは、「キャッシング枠」の方です。
キャッシング枠があっても未使用だから問題ないとはなりません。キャッシング枠があれば、いつでも自分の好きなタイミングで現金を借りることができる状態といえるのです。
また、カードローンも同様です。既に借入はしていないとしてもカードを持ったままだと、いつでも現金を借り入れることができてしまうからです。
カードローンやクレジットのキャッシング枠は不要なら削除しておきましょう。
スマホや携帯電話の分割払いで延滞経験がある
スマートフォンや携帯電話の本体代金を、分割払いにして電話代と合算して月額の支払いをしている人は意外に多いのではないでしょうか。
実は、本体代金の分割払いを延滞すると、ローンやクレジットカードと同じように個人信用情報に記録されます。
従って、携帯電話代を普段から度々延滞をしているようだと、審査に落ちる可能性が十分あるのです。
まとめ
住宅ローンの審査に落ちる原因について解説をしてきました。
住宅ローンは大きな金額を20年~35年と長い期間をかけて返済をしていく金融商品です。
銀行も貸したお金を返してもらえないと損害が大きいだけに審査は厳しくなります。
最後にポイントを整理します。
- 返済負担率が重要!35%以内が目安だが低ければ低いほどいい
- 他社借入件数はゼロが理想的。1件でもあればマイナスに評価されると思っておこう
- 消費者金融のカードローンが残っているなら完済後に住宅ローンに申し込もう
- 金額だけじゃない!完済時の年齢が重要!ローンの期間は仕事をして働いているときがいい
- 団体信用生命保険に加入できないと審査に落ちる!健康は大切
- 購入物件は原則担保。担保価値のない物件だと審査落ちに
- キャッシング枠(カードローン含む)は持っていない方がいい
家を買うことは、人生にとってとても大きなものです。そのためにも住宅ローンはとても大切な金融サービスですから、審査に落ちて家を購入することができなかったとならないよう、事前に住宅ローンの審査の知識を身に着けてから挑戦をしましょう。