現代社会を一つのアミューズメントパークに見立てた時、お金はまさに「入場券」。
入場券を持たないものは社会のサービスすら利用する資格がない…。そんな気がします。
そんな入場券=お金欲しさに、
・返済できないような高金利で借金をする
・身を滅ぼしかねない危険なリスクを犯す…
お金のために人はなぜか想像以上の無茶をしちゃうんですよね。
そんな、お金にまつわる人生模様を描いた名作マンガをまとめてみました。
金を巡って人間同士が骨肉の争いを展開する社会派コミックには、単なるフィクションとは思えないほどの迫力とリアリティがみなぎっています。
お金絡みのトラブルに巻き込まれる哀れな登場人物たちを見ながら、学校では学べないお金の大切さを見つめ直してみてはいかがでしょうか?
1.賭博黙示録カイジ
マンガの概要
ギャンブルマンガの巨匠・福本伸行先生の代表作です。
友人の借金の連帯保証人になった青年・伊藤カイジが、雲隠れした友人のせいで多額の借金を背負わされ、その返済のために闇ギャンブルの世界に身を投じていく物語が描かれています。
1996年に連載がスタートした本シリーズは、以後「賭博破戒録カイジ」、「賭博堕天録カイジ」とタイトルを変えながら現在も連載中。
アニメ化や実写映画化もされ、それまでマイナーだった福本作品が一躍脚光を浴びるきっかけとなりました。
このマンガの魅力とおすすめポイント
手持ちのカードでジャンケンをする「限定ジャンケン」や空中にセッティングされた鉄骨の上を渡る「人間競馬」といった非常にユニークなギャンブルが多数登場します。
ギャンブルマンガにありがちな運否天賦ではなく、金の力や心理的な読みを最大限に活用して「必然的な勝ち」を目指していく知能戦が魅力的。
しかもゲーム中の参加者の思考が非常に丁寧に描かれており、突拍子もない策略や生々しい裏切りなどリアルな人間ドラマを楽しむことができます。
「勝たなきゃゴミ」、「金は命より重い」など、現代社会の本質を突いた名言も見所です。
2.ナニワ金融道
マンガの概要
人間の「業」をテーマに描いた作品に定評のある青木雄二先生の代表作です。
西日本最大の金融街・大阪の地を舞台に、消費者金融会社「帝国金融」に勤める営業マン・灰原達之の視点で借金に苦しむ人々の生き様が描かれています。
コミカルでかわいらしい絵柄とは裏腹に、現実社会をシニカルかつ残酷に表現しているのが特徴的。
金融業界の実態をリアルに学ぶことができるため、法律を勉強している学生の間でも非常に人気のある作品です。
このマンガの魅力とおすすめポイント
金を巡って巻き起こる人間関係の汚い一面が容赦なく描かれていることに圧倒されます。
作者自身が過去にギャンブルや水商売関係の仕事に携わっていたこともあって、闇社会に生きる人々の言動が恐ろしく生々しいです。
下ネタや過激な文言をあちこちに散りばめて世の中を風刺する手法も非常にユニーク。
社会には「表」の顔と「裏」の顔が存在するのだということを強く印象付けられます。
本書を読めば、借金をするのがどれほど危険なことか痛切に体感できるでしょう。
3.闇金ウシジマくん
マンガの概要
真鍋昌平先生原作の社会派バイオレンスコミック。
債務者に暴利を押し付ける金融会社「カウカウファイナンス」の社長・丑嶋馨を中心に、闇金融業を展開するチンピラ達の荒んだ生き様や彼らに関わった人々の壮絶な末路を描いています。
2004年に連載がスタートし、現在も好評連載中。実写化もされ、大きな話題になりました。
闇金から金を借りる人々を「奴隷くん」と呼び、あらゆる暴力的な手法で容赦なく取り立てを行う展開に圧倒されます。
このマンガの魅力とおすすめポイント
ギャンブルや薬物に依存して闇金の世界に堕ちていく底辺層、いわゆる「ダメ人間」が容赦ない取り立てによって破滅していく様は、非道でありながら当然の報いとも言うべき結末であり、どこかダークヒーロー的な爽快感があります。
「人並み以下のクセに人並みに暮らしてる身の程知らずのクズどもに終止符を打つのが俺達闇金の仕事だ」
「死にてぇなら生命保険加入してからにしろ。返済がまだだぜ」
など、ゾッとするような名言のオンパレード。
一度ウシジマくんを読んだら、絶対に闇金で金を借りようとは思わなくなるでしょう。
4.東京闇虫
マンガの概要
本田優貴先生原作のダークな社会派コミック。
自堕落な生活の果てに数百万円もの借金を抱えてしまった主人公・加藤亮が、借金返済のために闇稼業に手を染めていくストーリーが描かれています。
借金踏み倒しに失敗して回収屋に拉致されてしまうような情けない主人公が、何度も苦境に追い詰められつつも死に物狂いで困難に立ち向かいながら成長していきます。
「人生で最も選びたくないシナリオ」というサブタイトルが、本作のテーマを如実に表しています。
この漫画の魅力、おすすめポイント
運び屋、死体処理、カルト教団の拷問、クスリなど、現代社会のリアルな負の一面にスポットを当てたストーリー展開が魅力的です。
超人的な能力を持った天才ではなく極めて平凡な主人公がどうやって過酷なアンダーグラウンドの世界で生き残っていくのか、手に汗握る戦いの連続に引き込まれます。
金を持たざる者が余儀なくされる悲惨な境遇を荒々しく描いた画風にも新人漫画家らしからぬ凄味があり、アウトロー系の作品が好きな方にお勧めできます。
5.こまねずみ常次朗
マンガの概要
秋月戸市先生原作、吉本浩二先生作画、青木雄二氏が原案・監修を担当した金融系コミック。
主に事業者を相手に融資を行う悪徳日掛け金融業者の猫本完一に騙され、借金返済のためにマグロ漁船に乗せられてしまったバー経営者の主人公・服部常次朗の奮闘が描かれています。
遠洋漁業からの帰国後、精神的にもタフになった常次朗は、自分をはめた猫本と同じ日掛け金融業者に就職。
多くの債務者と出会いながら、金融道に邁進していきます。
この漫画の魅力、おすすめポイント
債務者の借金にまつわる悲劇をテーマにしながらも、ウシジマくんのようなバイオレンス展開は少なく、どちらかと言えば泣ける人情劇をメインに押し出しています。
過激な描写が苦手な方でも比較的安心して読める作品です。
相手のことを思いやっているような振りをしながら言葉巧みに借金地獄へ落としていく悪徳金融業者。
現実に自分の身近にもいそうな生々しさがあり、詐欺被害に遭わないためにもぜひその手口を学んでおきたいものです。
6.極悪がんぼ
マンガの概要
「カバチタレ!」でお馴染み、田島隆先生原作・東風孝広先生作画コンビの社会派コミック。
金もない、学歴も無い、人に誇れるようなものが何もない人生を歩んでいる中卒の青年・神崎守が、とある借金事件をきっかけに法律の裏をかくことを生業とする事件屋・秦探偵事務所に入所。
業界一のビッグな存在になることを目指すサクセスストーリーです。
法律を駆使して弱者を守っていくカバチタレ!に対し、こちらは法律の盲点を突いて利益を目論む邪道の手法が描かれているのがユニークです。
この漫画の魅力、おすすめポイント
大ヒットコミック・カバチタレ!のコンビが手掛けているだけあって、思わずアッと唸らされる知略展開は圧巻です。
法律を守ることは社会人の義務ですが、現実には法律を守らない者が少なくなく、しかもその方が真面目にコツコツ働くよりはるかに簡単に莫大な利益を得られるという皮肉。
「絶対に真似をしないでください」と注意書きが出るほどリアルな手法は実に見応えがあります。
ずる賢い悪党が勝つ物語に共感してしまうことでしょう。
7.嬢王
マンガの概要
倉科遼先生原作、紅林直先生作画のコンビが描くキャバクラ嬢の物語。
平凡な生活をおくっていた普通の女子大生・藤崎彩が、父の背負った莫大な借金を返済するためにキャバ嬢の世界に飛び込み、賞金1億円をかけたQ-1グランプリ優勝を目指します。
ナンバーワンキャバ嬢の座を巡って展開される女同士の骨肉の争い。
ホストクラブを舞台としたコミック「夜王」の作者が手掛けているため、水商売の裏事情が詳細に描かれているのが特徴的です。
「嬢王 Virgin」という続編もあり、実写ドラマ化もされました。
この漫画の魅力、おすすめポイント
ムカついた時にすぐ取っ組み合いの喧嘩になる単純な男性と違って、女性の争いは非常に狡猾でドロドロしています。
水面下で周りの人間を籠絡して気に入らない相手を精神的に追い詰めていく陰湿なやり口を通して、華やかなキャバクラの影の部分を垣間見ることができます。
男性客を手玉に取る巧みなテクニックは、キャバクラ経験者なら思わず笑ってしまうことでしょう。
また、成人向けコミックということもあって、サービスシーンが多めなのも見所です。(笑)
8.タカネの花
マンガの概要
新久千映先生原作、金森重樹先生監修の金融系ラブコメ。
親族の連帯保証人になったせいで2億4千万円もの借金を背負ってしまった主人公・安部依子。
絶望のあまり自殺を図ろうとする彼女が、同じく失恋のショックで身投げしようとしていた金融のプロ・幸田寛一郎と出会い、不動産投資を教わりながら借金完済を目指していきます。
不動産投資のやり方が基本から丁寧に解説されており、ビギナーにとって漫画版の入門書として重宝します。
この漫画の魅力、おすすめポイント
借金に悩む債務者を主人公にした作品は得てして暗い話になりがちですが、本作は金の無い女とモテない男のコンビが織り成す借金返済までの道程がコミカルに描かれているため、楽しく読み進めることができます。
どんなに絶望的な状況でも諦めなければ必ず打開のチャンスがあるということをテーマにしており、金銭的な悩みを抱えている方でも前向きな気持ちになれます。
コミックス2巻で完結するので短時間で読めるのも魅力的。
不動産投資に興味のある方は是非読んでみてください。
9.カネが泣いている
マンガの概要
国友やすゆき先生原作の社会派コミック。
銀行員から消費者金融に転職し支店長にまで昇進した主人公・高木誠が、様々な事情を抱える債務者達から融資の回収を行うストーリーが描かれています。
金を貸すことで相手を救うことができるという信念を持つ真面目な主人公。
しかし彼のそんな優しさを嘲るように、身勝手な債務者達が嘘や裏切りを通して平然と借金を踏み倒していきます。
金を巡って展開されるシビアな人間模様から目が離せません。
この漫画の魅力、おすすめポイント
借金をテーマにした物語では、執拗に取り立てを行う金貸し側を「悪」と見立ててストーリーが展開されることが多いです。
しかし、本作では「金貸し側の苦悩」に主軸を置いている点が非常にユニーク。
借りたものを返すのは社会人として当然の義務なのに、そんな簡単な約束すら守ろうとしない連中の態度に辟易します。
サラ金にブラックなイメージが付いてしまった原因が、安易に消費者金融から借金して踏み倒そうとする債務者側にあるのだということを強く印象付けられる名作です。
10.銭ドク
マンガの概要
もんでんあきこ先生原作の社会派コミック。
経営コンサルタント事務所「銭毒診療所」所長の主人公・森崎ルカが、多額の借金を背負わされる羽目になった被害者たちを高度な金融知識を駆使して絶望の淵から救済していくストーリーが描かれています。
金は毒であり金に依存した人間は中毒を起こして身を滅ぼしてしまうという信念のもと、金の魔力にとりつかれた身勝手な悪党共をスタイリッシュに「解毒」していく王道の展開にしびれます。
この漫画の魅力、おすすめポイント
金融系のコミックの中では珍しい勧善懲悪タイプの作品です。
金を稼ぐことが正義と見なされる資本主義社会では、悪知恵の働く連中によって弱者が搾取されていくのは必然的な悲劇。
自身も金銭トラブルで絶望のどん底に叩き落された過去を持つ美人コンサルタントが追い詰められた人々に知恵を与えて事件を解決していく物語には、人情ものの時代劇のようなすがすがしさがあります。
借金の怖さ、そして金融の知識を身につけることの大切さを学べます。
11.借王(シャッキング)
マンガの概要
平井りゅうじ先生原作、土山しげる先生作画コンビが描く金融サスペンス。
エリート銀行員、悪党刑事、元風俗嬢の高級クラブ経営者、多額の借金を背負う3人の借王(シャッキング)が手を組んで悪徳業者から金を巻き上げて返済にあてていくストーリーが描かれています。
一般企業と政治家との癒着など、現代社会を風刺するような事例が多く取り扱われているのが特徴的。
知略を駆使して悪質な営利集団をひれ伏させていく展開は、非合法的ながら見ていて痛快です。
この漫画の魅力、おすすめポイント
実写化され、何作ものシリーズが制作された名作です。
3人の主人公が借金を抱えてしまった経緯は自業自得ですが、どこか憎めないキャラクター性は見ていて共感を覚えます。
ダミー会社作りなど彼らが仕掛けていく脱法的な手口には、現実社会でもしばしばニュースになるようなリアリティーがあり引き込まれます。
何でもありの悪党VS悪党の戦いは、プロレスの場外乱闘を彷彿とさせるまさに金融アクション。経済社会の裏の側面を学べて興味深いです。
12.100億の男
マンガの概要
「カネが泣いている」の原作者である国友やすゆき先生の代表作です。
婚約者である村田和美と将来を誓う平凡なサラリーマン・富沢琢矢は、ある日突然政財界のドン・久我山天善から母親の背負う100億円の借金の連帯保証人になっていることを告げられてしまいます。
借金返済のため、やむを得ず自分の人生を久我山天善に売る決意をする主人公。
はたして彼は、100億の価値に見合うだけのビッグな男になれるのか?実写化もされた大人気コミックです。
この漫画の魅力、おすすめポイント
どこにでもいるお調子者の青年が出会いと別れを繰り返しながら男として成長していく成り上がりストーリーには、王道少年漫画のような熱さがあります。
株式取引を巡るマネー戦争、高度な情報戦、壮絶な裏切りなど、先の読めないスリリングな展開がたまりません。
嫉妬や怨恨といった負の感情が織り成すヒューマンドラマが非常に生々しく描かれている点も必見。
主人公と絡む女性キャラも魅力的な人物ばかりで、大いに男心をくすぐられます。
13.闇金ゼニガタ
マンガの概要
近藤和寿先生作画、永森裕二先生・須田良規先生原作の闇金マンガ。
表向きは居酒屋を経営しつつ、裏では10日で3割の暴利で貸し付けを行っている闇金屋・銭形兄弟。
二人のもとを訪れる様々な債務者の生き様と銭形兄弟の無慈悲な取り立てをテーマにした作品です。
思わず同情してしまいそうな不幸な生い立ちの相手であろうと、回収のためなら顔色一つ変えずに淡々と仕事をこなすアウトローコンビ。
容赦ない追跡が淡々と描かれているのが非常に印象的です。
この漫画の魅力、おすすめポイント
枝豆代という名義で来客に融資するスタイルがいかにも非合法の闇金業者という感じがしてカッコいいです。
借金返済のために体を売る母親や子供を利用して雀荘でイカサマをする父親など、およそ社会不適合者としか言いようのない債務者達の姿を見ていて、借金地獄に落ちる悲惨さを痛感することができます。
どんな手を使ってでも借金を取り立てる反面、仕事以外のことに関しては情けをかける一面もあり、銭形兄弟のダークヒーロー的なキャラクターにしびれます。
14.夜回り先生 特別編 さよならが言えなくて
マンガの概要
夜間に繁華街をパトロールしながら青少年の悩みと向き合っている教育評論家、「夜回り先生」こと水谷修先生原作のコミックです。
自堕落な母親のせいで巨額の借金を背負い、完全に家族関係が破綻してしまった一家の女子高生・ジュン。
ささいな出来心から覚醒剤に手を染めてしまった彼女が、薬物依存を断ち切るために水谷修先生に助けを求める手紙を出します。
はたしてジュンは普通の生活を手にすることができるのか?実写ドラマ化もされた衝撃作です。
この漫画の魅力、おすすめポイント
実際に多くの若者の非行問題に尽力している水谷修先生の著書だけあって、薬物依存や援助交際など現代の女子高生が抱えている闇の部分が非常に生々しく描かれています。
幼いころから親の愛を知らず、クスリに頼ることでしか自我を保てなくなってしまったジュン。
彼女を自立させるためにはどうすれば良いのか、水谷修先生自身も距離の取り方に悩み、もがきながら解決を目指していくリアルな過程に胸が痛みます。
「依存」という現象は誰にでも起こりうる精神状態であり、他人事とは思えない共感性を覚えました。
15.本当にあった悲惨な生いたちシリーズ
マンガの概要
ぶんか社が出版していた読み切りコミック雑誌シリーズです。
不幸な生い立ちのせいで様々な依存症に陥ってしまった女性たちの悲惨な物語が生々しく描かれています。
アルコール依存症やギャンブル依存症、セックス依存症など、心が壊れてしまった女性たちの絶望的な境遇は絶句もの。
各エピソードが完全に独立しているオムニバス形式の作品なので、連続物のようにたくさんのキャラクターを覚えることに意識を割かなくて良いのが特徴的です。
この漫画の魅力、おすすめポイント
いわゆるレディコミというジャンルの作品であり、女性キャラの思考が女性作家視点でリアルに描写されているのが印象的です。
各作品のテーマも思わず目を背けたくなるような惨いものばかり。
人間が依存症に堕ちていく過程が痛いほどよく分かります。
もしこれが自分の立場だったら、最悪の結末を迎える前に何としてでも依存症を断ち切らなければならない、という思いを一層強くしてくれることでしょう。
誰にでも起こりうる日常の崩壊ほど恐ろしいものはありません。
まとめ
「借金は男の勲章」という言葉がありますが、現実に多額の借金を背負ってしまったら、その先に待っているのは決して楽な人生ではありません。
工夫次第で完済することは出来ても、なるべくなら借金なんて無い方が良いに決まっています。
安易な気持ちでキャッシングを利用している方は、この機会にぜひ自分の金銭管理センスを見つめ直してみることをお勧めいたします。